「実験奇薬自宅療法」中の動物薬  その1

「実験奇薬自宅療法」中の動物薬  その1

第190回

「実験奇薬自宅療法」、本草研究会編、文永堂、大正7年5月1日発行。(271ページ)

この、「実験奇薬自宅療法」という書籍は、版権が切れて、
 国会図書館の近代デジタルライブラリーに公開されています。
私は、この「薬になる虫たち」では、
 原則として印刷された書物以外(つまり、ネット上の情報等)は、
 引用しないことにしています。
しかし、この「実験奇薬自宅療法」は、
 紙の本をデジタル化したものですから、
 印刷された書物と同じと考えて、引用します。
国会図書館ですから、信頼性に問題はありませんから。


著者または編者の名はなく、本草研究会となっています。
実際は、本草学の知識のある個人が、
 各種の本や個人的な情報から編纂したものでしょう。
題名に「奇薬」の文字が入っていますから、
 取り上げた処方は、一般的ではないということを承知して書いているわけです。
「奇妙かもしれないけど、効くんだよ。」と、編集者は言いたいのが、隠されています。

前書きには、
「明治維新以来、西洋医学が入ってきたが、
 山間僻地では、いまだその恩恵に浴していない。
世の医の乏しい地区の病気や創痍に悩む人のために、編纂した。」とあります。
以前紹介した「救民妙薬」の前書きに、よく似ています。

当時、大正時代の民間では、
 いまだ江戸時代と同じような、治療、医薬が用いられていたようです。
しかし、ある程度の効果、場合によっては、驚くような効果があったのでしょう。

「実験奇薬自宅療法」より、

食傷(クイモノアタリ)
◎夏月のころであれば、ハエの頭を、2、3個 水で飲めば、たちまちに嘔吐する。


食道狭窄(かくのやまい)
 姑息手段
◎大きな鮒の内蔵を除去し、刻んだニンニクを腹に詰め、
  紙で十重に包み、上を泥で塗り、炭火で焼いて、
  搗き潰して、蜜で練り、重湯で一カタマリずつ食べる。

黄疸
◎シジミ汁は、黄疸の食物として効果がある。
◎シジミの殻を一升ほど、藁火で白くなるまで焼き、
  そのままオハグロ(鉄ショウ)の壷へ二時間ほど浸す。
  また、取り出し焼き、二、三度 研磨して粉にして、
  1サジずつ、1日に3回服用すれば、大変効果がある。

痔核(じのやまい)
◎シジミを煎じて、その汁で蒸すのもよい。
  タニシを焼いて、細かい粉として、白粉をすこしまぜて練って、つけるのもよい。
◎洗い薬蒸し薬には五倍子(ゴバイシ:虫こぶ)。
◎つけ薬としては:卵24個をゆでて黄身をとる。
  ナベに入れて弱火で、24時間炒ると、黒い油になる。
  これを塗れば不思議に効果がある。
  注:これは卵黄油

痔核(じのやまい)
◎蝉の抜け殻を炙り、黄色にして細かい粉にして、蝋に混ぜて塗るのも良い。

痔瘻(あなじ)
◎センブリ1両、センザンコウ(穿山甲)、アワビの殻、
  槐花 各5匁を 細かい粉にして蜜で練って、麻の実の大きさの丸剤にする。
  1匁ずつ、1日に2回、重湯で服用する。
  重症者は40日で治るとある。
  周囲の肉が硬く、突き上がっている場合は、
  蚕の繭20個を炒って上記の薬に加える。

痔瘻(あなじ)
◎貼り付け薬には:カタツムリ、竜脳を突き潰して貼ると、
  痛みを止め、腫れをひかすという。

脱肛(でじ)
◎芭蕉の葉、桑の葉、蝉の抜け殻を、同じ量を粉にして、押し入れば、元に戻る。
◎ザクロの花、ミョウバン、五倍子(ゴバイシ:虫こぶ)などを塗ると良い。
◎ハマグリを蒸して、身を布に包み、汁ごと押し当てると、痛みが止まる。