現代日本で使用されている動物系生薬のリスト その2

現代日本で使用されている動物系生薬のリスト その2

松浦漢方のリスト
松浦漢方は名古屋の漢方薬のメーカーでもあり、生薬の問屋でもあります。
そことも取引があるので、
松浦の小分け生薬・粉末薬品の相場表というのが、
手元にあります。
要するに、生薬は天然物なので価格が変動するということですね。
また この価格が小売店に対する卸値であり、カタログを兼ねているわけです。
現役の生薬ということになります。

生薬・粉末薬品相場表に記載されている動物系の生薬をあげて見ましょう。

阿膠(あきょう): ロバ由来のニカワ
猿頭霜(エントウソウ:  猿の頭の黒焼き!
海馬(カイバ):     タツノオトシゴ
カタツムリの黒焼き:  その名の通り、
カマキリの巣:      巣とは言うが、
実際はカマキリの卵(ソウヒョウショウ)
ゴオウ(牛黄):     牛の胆石
五倍子:         虫コブ
五八霜(ごはっそう)=反鼻(はんぴ):まむし
五霊脂:         ムササビの一種の糞
サンシャ(蚕砂):     蚕の糞
シャ虫(しゃちゅう):   サツマゴキブリ
ジリュウ(地竜):     ミミズ
スイテツ=ヒル(水蛭):   蛭
ゼンカツ(全蠍):     サソリ
センタイ(蝉退):     蝉の抜け殻
珍珠母(チンジュボ):    真珠貝の殻
ドベッコウ(土別甲):   スッポンなどの亀の甲羅
ハチミツ:
ビャッキョウサン(白殭蠶):
フジコブ(藤瘤):     藤の虫こぶ(カミキリムシの一種が寄生したもの)
ボウチュウ(虻虫):   虻
ボレイ(牡蛎):     牡蛎(カキ)の殻
マタタビ(又旅)(木天蓼): マタタビの虫こぶ
マムシ(姿焼):
ムカデ(百足):
八つ目鰻:
ユウタン(熊胆):熊の胆
リュウコツ(竜骨):哺乳動物などの化石類
ロクジョウ(鹿茸):鹿の角
ロホウズ(呂蜂巣):蜂の巣
ローヤルゼリー:
ウゾッコツ(烏賊骨):イカの軟骨
カイクジン(海狗腎):オットセイの陰茎
ジャタン末(マムシ蛇胆):いわゆるマムシのきも

ウチダ和漢薬のと、共通の部分もあれば、違う部分もあります。それぞれに解説をつけると面白いでしょうが、いずれ書きます。

今回は、一番最初の一つだけ。

「阿膠(あきょう)」について。
ニカワって知っていますか?若い人は、ピンとこないでしょうね。
動物(羊、牛、兎など)の皮やスジ(つまり腱)を煮出して固めたもので、
接着剤として用いられました。
かく言う私自身も、ニカワは見聞きしただけで、使ったことはありません。
いまは、化学合成した良い接着剤があるので、
特殊な用途以外は使われなくなりましたが。
まあ、本当に奇妙なもの、
なんせ 動物の皮が原料の接着剤ですから、が使われていました。

「阿膠(あきょう)」は、ロバの皮から煮出したニカワです。
これに、薬用作用があるのですから、ふしぎなものです。
どんな作用かというと、止血作用、その他があります。

阿膠(あきょう)が入っている漢方薬で、保険薬として、薬価基準に収載されているのもあります。
例をあげると、「猪苓湯チョレイトウ」
「猪苓湯合四物湯チョレイトウ ゴウ シモツトウ」
「炙甘草湯シャカンゾウトウ」
「温経湯ウンケイトウ}や
「弓帰膠艾湯キュウキキョウガイトウ」。

「猪苓湯」は主に、膀胱炎に用います。
一般的に膀胱炎には、抗生物質を用います。
しかし、漢方薬も結構効きます。しかも、胃を荒らしません。
さて、抗生物質で、たいてい膀胱炎は治るのですが、
膀胱炎を繰り返す人がいます。
また、抗生物質を投与されて、尿から菌が消えても、
まだ膀胱炎様の症状が続き、
病院で訴えても、尿から菌が消えているから治っていると言われ、
困ってくる場合があります。
こんな時は、この「猪苓湯」、または別な漢方薬をしばらく服用すると、良くなることが多いのです。
多分、こういうことではないかと思います。
猪苓湯」だけでも、軽い膀胱炎は治ることが多い。
また、抗生物質を投与されれば、菌は死にますが、
炎症の起こった膀胱壁が、すぐに元に戻らない場合がある。
そうすると、菌がいないが、不快感、膀胱炎様の感じは続く。
そこに、「猪苓湯」などの漢方薬を服用すると、
膀胱壁が正常な状態になるので、
治ることになるのではないかと推定します。

と言った具合で、阿膠(あきょう)は、
現在も日本で使用されている動物系生薬です。

最古の本草書である「神農本草経」には、以下のように記載されています。
阿膠:一名傅致膠.味甘平.出東阿.
治心腹内崩.労極洒洒如瘧状.
腰腹痛.四肢酸疼.女子下血.安胎.久服輕軽身益氣。
------腰や腹の痛み、手足の痛み、
女子の下血に効果がある。
安胎作用(妊娠を安定させる)がある。
永く服用すれば、身体が軽くなり、気を益する。

現代的な薬理効果としては、「中薬臨床手冊」によれば、
1. メマイ、動悸など。
2. 喀血、吐血、血便、血尿、子宮の大量出血などの止血作用。
3.熱による消耗、不眠など
そのほか、肺を潤し止血する作用がある。

また、ロバ以外の動物のニカワにも、何らかの薬効があるようです。