「千虫譜」における、カイコの薬効  その1

「千虫譜」における、カイコの薬効  その1

第181回

白僵蚕(ビャッキョウサン)カイコの病死体の薬用効果

白僵蚕(ビャッキョウサン)とは、
蚕が白僵菌に感染して死亡し、白く堅くなったものです。
言わば、病死した蚕の幼虫です。
病死したものを、薬にするとは、不思議なことですが、
白僵蚕は、江戸時代には広く用いられていました。
現代中国では、わざわざ蚕を白僵菌に感染させて、
白僵蚕を養殖製造しています。


「千蟲譜」には、絵とともに、数ページにわたって、
白僵蚕およびカイコについての記述があります。
「千蟲譜」は、江戸時代の栗本丹州の画文集です。
昆虫のみならず、蟲類を写生した画集です。
絵も内容も大変正確です。
あの時代に、こんなすばらしい、
蟲類の観察画があったとは、実に驚きです。
「千虫譜」については、名前のみ知っていて、
具体的にどのようなものか、知りませんでした。
国会図書館のサイトに、
全ページが公開されていたのを、
少し前に気がつきました。
見ていて、大変不思議な感動をおぼえました。
蟲類に興味ある方は、見てください。
きっと、感動しますよ。

それでは、一部を紹介しましょう。

「白僵蚕」
その薬用として上等のものは、真っすぐで、非常に堅く、
折って中を見ると、透明で琥珀のようである。

仙台地方の民間では「ヲシャリコ」という。
その皮には上白粉を塗ったようで、それで白僵蚕という。
江戸では、「ホシコ」という。

別名には、直僵蚕、死氷、白甘遂などがある。
俗に「強蚕」と書いて通用している。
死蚕の白く真っすぐなもので、堅く石のようなものである。
小児科の常用の薬である。
蝉のヌケガラよりも、薬効がある。
天麻(テンマ)と組み合わせ、鎮驚の薬には、必須である。

色の黒いものは、偽物である。
白僵蚕は、手に入れるのが難しい。
それで、薬舗では、沢山仕入れるのが難しい。
ずるい商人で、最初から、白僵蚕の偽物を作る目的で、蚕を飼うものがいる。
蚕の全身が黄金色になり、喉が透明になるのを待って、
炒鍋に入れて炒め殺して、
石灰をまぶして、太陽で乾燥するという。

薬肆の多くは、この偽造の白僵蚕で利益を得ていると言う。
白く黴びているよう、折れば堅く透明で琥珀のようなものが本物である。
白すぎて、粉をふくようで、折ると中に糞があり、黒いものは、あまり堅くない。
これは、本物ではない。
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