打撲には、「ハエトリグモ」

ハエトリグモの薬効
   第75回

打撲には、「ハエトリグモ」

「ハエトリグモ」は、生薬名を「蝿虎(ヨウコ)」といいます。
なかなかピッタリした、よい名ではないかとおもいます。
別名を、「蝿豹(ヨウヒョウ)」「蝿狐(ヨウコ)」などともいいます。
ハエトリグモについては、古い本草書には、記載されていません。
「虫類本草」には、「本草綱目拾遺」に初出とありますので、
「本草綱目拾遺」(清、趙学敏、1765年)から、引用します。

なお、「虫類本草」には、学名
Menemerus confusus Bos と、あります。
和名、シラヒゲハエトリ。
  
「本草綱目拾遺」より、
「古今注」:蝿虎(ヨウコ)は、形はクモに似て、灰白色をしており、よく蝿を捕らえる。
       別名を蝿虎子(ヨウコシ)という。
「潜カク(石+角)居類書」:別名を蝿豹(ヨウヒョウ)、体は黒く、口には二つの爪があり、
               蝿を捕らえて食べる。
               両目は虎に似て、ランランと光を放っている。

考察すると

蝿虎(ヨウコ:ハエトリグモ)もクモの類いであって、腹にも糸がある。
しかし、網の巣は作らない。
ただ壁にいて、蝿を捕らえてたべる。
その体は灰褐色で、身体には短い毛がある。
嘴(クチ)には、二つの鋭い刃がある。
しきりに動き、跳ぶこと虎のようである。
また、純白色のもあり、両目は朱色で、大変可愛い。
子供たちは、捕まえて器に入れ、蝿を捕まえて餌にしている。
跳んで捕まえるのを視て、遊んでいる。
この物が、薬になっているのを見たことがない。
それ故、李時珍の「本草綱目」には、記載されていない。
しかし、最近の徐順之先生の「験方」には、こんな風に記載されている。
その性質は、しきりに動き、静かではない。
血脈を通じ、跌打を治す。
跌打損傷(テツダソンショウ:打撲によるケガ)を治す:蝿虎(ヨウコ:はえとりぐも)数匹をすりつぶして、酒で服用する。